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2012年 07月 06日

「天地明察」にみる江戸の理系事情 [12/07/06]




七夕の「織姫」「彦星」は、まぎれもない大和言葉だ。だから、僕たちの祖先も星空に思いを寄せてきた。だが、日本古来の文化は花鳥風月の月ほどに星を愛でてはいない。この春に芭蕉の「おくのほそ道」をとりあげたとき、「荒海や佐渡によこたふ天河」の一句に「銀河系そのものを海に対置した感覚は、どこか突き抜けている」などとエラそうな感想を書いたのも、そんな理由からだった。

 だが、いくつもの例外があるのは事実だ。たとえば、藤原定家の「明月記」は夜空に突然姿を現す超新星の記録を陰陽師から取り寄せ、収めている。11世紀から12世紀にかけて出現した三つの超新星の様子を描いており、今日では世界中の天文学者にとって貴重な歴史資料となっている。目的は占いであれ、暦であれ、天体の情報は為政者に欠かせない。日本にも天文を生業とする人は大昔からいた。

 江戸時代、それは数理と結びついた「学」の域にまで達していた。そのことを「史実をもとにしたフィクション」(巻末の編集部注)で浮かび上がらせた小説が最近、文庫本になった。『天地明察』(冲方丁著、角川文庫、上下2巻)。青春ドラマのような痛快な書きっぷりだから、読みやすい。単行本は2010年に「本屋大賞」に選ばれた。今秋には映画公開も予定されている。〈下は、日本の国立天文台がハワイに置いた巨大望遠鏡「すばる」(左)。この小説の主人公は、江戸時代の国立天文台長ともいえる幕府の「天文方」になった=1999年、ハワイ島で天田充佳撮影〉

by kissyouten2006 | 2012-07-06 10:44


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