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2009年 05月 25日

IISIA デイリー・レポート(2009年5月25日号・スタンダード版


【北朝鮮】
●「米:金正日、北朝鮮における権力シフトを始める」
(25日The Australian(オーストラリア)
http://www.theaustralian.news.com.au/story/0,25197,25530959-2703,00.html)
―米国当局の情報によると、金正日・北朝鮮国防委員長が三男の
 金正雲氏と義理の弟である張成沢に権力を移譲しているとの結
 論を出したといいます。4月に行われた最高人民会議において、
 金国防委員長の義理の弟である張成沢氏が北朝鮮において最も影響
 力のある国防委員会の委員になったことが大きな兆候だと報じ
 ています。
―本件記事では、米外交筋とインテリジェンス機関は金国防委員長の
 三男である金正雲氏が後継者であるという観測を高めていると報じています。
 ブッシュ前政権のアジア地区アドバイザーのトップであったワイ
 ルダー氏は、「金国防委員長は後継者を導くプロセスとして摂政
 を必要としている」と述べているとした上で故・金日成氏が金国防委員
 長に禅譲を決めた際にははっきりとした兆候が見えたとしています。
 米当局高官は、北朝鮮による最近の「攻撃的な」外交政策は北朝鮮
 安全保障政策が「原点」に回帰している、何らかの兆候だと考えて
 いるように見受けられます。米当局は「この外交方針の変化は新たなリーダー
 シップによるものかは不明」としていますが、北朝鮮は明らかに
 「不測の事態」を見据えていると発言したの別の報道もありますが、
 ここでいう「不測の事態」とは、金国防委員長の健康状態の悪化を
 意味していると推測されましょう。
(http://online.wsj.com/article/SB124304434715249127.html)
―もっとも、米国勢がこのようにして突如として北朝鮮情勢について
 関係各方面に対する“ブリーフィング”を熱心に開始した背景には、
 米国勢として北朝鮮とそれを取り巻く東アジア情勢の激変という
 「潮目」の予兆を見てとることが重要であるとIISIAとしては
 考えています。この関連でまず想起しなくてはならないのが今年
 3月中旬に、米系女性ジャーナリスト二人が北朝鮮当局により拘束された
 との事案の“その後”です。これらジャーナリストは現在も拘束中であり、
 その公判が平壌にて6月4日に行われる予定となっています。
(http://jp.reuters.com/article/topNews/idUSTRE54D0A620090514)
 この事案について、IISIAとしては米朝間で二国間交渉を極秘裏に
 開始するための“呼び水”“煙幕”とでもいうべき常套手段である
 と分析してきた経緯があります。なぜならば、公表されている限り、
 非常に目立つ容姿の“女性”ジャーナリストが「極悪な環境」で
 収監され、しかも“極刑”に処せられるといった事態にまで発展した
 場合、「人権外交」を標ぼうしてきた米民主党政権としては、当然、
 救出を名目として特使、しかもかなりのハイランクな特使を派遣
 せざるを得なくなるからです。実際、ワシントン政界筋はこれら
 ジャーナリストたちが所属している米系テレビ局と関係が深く、
 かつオバマ現政権、ひいてはヒラリー・クリントン国務長官とも
 関係の深いアル・ゴア元大統領が「特使」として訪朝するのではないか
 と考えてきた次第です。しかし、オバマ政権としてはこうした事態の
 展開を踏まえても、あくまでも来る6月4日の「公判」を待ってから
 対応を講じるとの構えを崩しておらず、北朝鮮側からすれば
 業を煮やしつつあったものとIISIAとしては現段階で分析しています。
―他方、日本の大手メディアでは、北朝鮮に対して、欧州勢の投資が盛んに行わ
 れていることは殆ど伝えられていませんが、実際に、近年の投資
 増加が北朝鮮の建設ラッシュを進めているとの分析が流布されています。
(http://www.nkeconwatch.com/2009/05/21/north-koreas-construction-boom/)
 ヒラリー・クリントン国務長官の発言にここにきて変化が見られ、
 米北朝鮮特使の訪朝があることを示唆していることは、北朝鮮について
 何らかの動きが起きていることが推測される
(http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-clinton24-2009may24,0,6
159398.story)
 わけですが、欧州勢、そして中国勢による対北朝鮮アプローチが活発と 
 なっている現状に鑑みれば、米国勢としてもこの“パイ”を取り損ねない
 よう躍起になるのは当然の展開といえましょう。
―さらにいえばウラン産出国であるオーストラリアにとっても、自ら豊富な
 ウラン(モナザイト)を抱え、その“市場化”によって東アジアにおける
 原子力マーケットの様相を一変させる可能性の高い北朝鮮を巡る動向は
 深い関心事項であるといえましょう。そのことは、1990年代前半に
 米朝間で結ばれた「米朝枠組み合意」によってつくられた朝鮮半島
 エネルギー開発機構(KEDO)の理事国としてオーストラリアがかつて
 加盟していたことからもうかがわれることです。そのような中、本件
 IISIAデイリー・レポート2009年5月11・ 21日号でもお伝え
 していますが、ここに来て日中韓を中心とした“東アジア版富と繁栄の
 サイクル“の形成についての動きが活発になってきています。オーストラリア
 勢は当然にはこのサイクルには入っていないため“焦り”が感じられる
 展開となってきているものとIISIAとしては分析しています。今次報道
 も米国当局からのブリーフィングに明らかに基づいたものであると
 見受けられるものの、かなり長文の記事をキャリー記事ではない形で
 独自報道していることに、こうしたオーストラリア勢の対北朝鮮姿勢が
 見てとれるものと考えられましょう。
―他方、韓国発の報道によると、北朝鮮はつい先ほど(25日午後)核実験を
 実施した模様です。
(http://mainichi.jp/select/today/news/20090525k0000e030041000c.html)
(http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090525AT2M2500U25052009.html)
 欧州勢、あるいは中国勢との間で盛んにビジネス・トークを繰り広げつつ、
 米国勢とは“ジャーナリスト拘束”を通じた直接交渉へと乗り込もうと
 画策していた北朝鮮勢としては、金融メルトダウン冷めやまぬ現状下で
 ますます外交においてしか得点を稼げなくなってきているオバマ政権に
 対し、「王手」をかけたといったところでしょう。日本の個人投資家・
 ビジネスマンとしても、こうした北朝鮮情勢を巡る急展開が、実際には
 “よりマシなマーケット”として米欧勢のデフォルトという想定外の
 展開の中で一気にマネーが流入してくる可能性の高い日本マーケットを
 持続的に反映させる新しい礎となるべき東アジア版富と繁栄のサイクル
 の発展ぶりのいわば“コインの裏側”であるということをしっかりと
 認識しつつ、あらゆる「潮目」の予兆をつかみとるべき展開となってきて
 います。
・・・・
さて。

この編集後記を書いている最中に、韓国発で「北朝鮮が核実験を強行した」との
報道が飛び込んできました。もっとも、核実験を実施したといっても、ストック
ホルム、ウィーン、そして日本の松代などで設置されているCTBT条約上の
地震計測所での確認作業が必要となってきますから、しばらくはこれが事実で
あったのか否か、判然としない状況が続くものとIISIAとしては考えています。
いずれにせよ、これによって東アジア全体でマーケットを巡る地政学リスクは
著しく高まったと喧伝されやすい状況になったのは事実でしょう。

もっとも、こうした“喧伝”には惑わされないようにすることが重要です。
なぜならば、東京では現在、米国、英国、フランス、そしてカナダの政府筋より、
「日本は北朝鮮が拉致をしたと糾弾しているが、拉致をしているのは日本人
なのではないか?」との非難が思わぬ形で高まりつつあるからです。当然
こうした議論は北朝鮮に“利する”ものです。とりわけ米国がこうした議論を
あからさまに展開することによって、北朝鮮情勢の進展にとり決定的な
意味あいを持つ「北朝鮮による日本人拉致問題」につき、北朝鮮寄りの
舵を密かに、しかし大きく切ったというべきでしょう。

今回の「非難」は、“日本人が外国人との間で子供をつくったにもかかわらず、
この外国人配偶者の同意を得ずに日本に子供を連れ帰ってしまうケースが
多々ある。しかし、子どもの拉致を禁じた1980年ハーグ条約に日本は批准
していないG7では唯一の国であるため、各国は大いにフラストレーションを
高めている“というものです。確かに、少し聞いたところでは納得のいく
説明であるかのようにも思えます。

しかし、ポイントはなぜ今になってこの問題が、これら各国がほぼ同時に
焚きつける形で東京ベースで燃え盛り始めたかでしょう。以前よりあった
はずの問題なのですが、今回(数週間前)にこれら各国の大使館はこぞって
東京で記者会見を実施。日本政府側の無策を非難したといいます。これは
「異様」な展開です。いや、正に文字通り、「異様」としか言いようが
ありません。

「日本人こそ拉致をしてきた」と米欧“列強”が叫ぶ時、日本は恐らく
黙り込むしかないでしょう。なぜなら、そのことは少なくとも外交当局に
おいては米朝国交正常化に向けた明確なサインであり、かつそれに追随
ないし先行する形で対北朝鮮ビジネスの展開を図ってきた欧州勢の
明確な意思表示であるととらえられるからです。もちろん、こうした流れの
背後には、日本・中国・韓国という東アジアの富と繁栄のサイクルがまもなく
出来上がりつつある中、韓国には北朝鮮という「東アジア最後のエマージング
マーケット」が付いている点にこそ、アドヴァンテージがあるのだという現在
進行中の事実があることを忘れてはならないでしょう。そしてそれは、米欧勢が
今後デフォルト(国家債務不履行)へと突入していく中で、“よりマシな
マーケット“として選ばれている日本にマネーが流れ込んだ先に、それが
安定的に日本経済を押し上げていくことになるかどうかを巡り、これを決定
づける最大の要因になってくることは間違いないことも忘れてはならないと
思います。

確実に、しかし密やかに、見える人には見える形で「潮目」の予兆はあらわれ
始めています。
「その時」に身動きがとれぬなどという痛恨の事態が生じないよう、引き続き
最大限の注意をもって“潮目”の予兆をウォッチしていきたいものです。

編集人・原田武夫
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by kissyouten2006 | 2009-05-25 23:26 | デイリーメール